ごあいさつ

三島剣道連盟会長
古賀惠介

この度、宮原昇治名誉会長の後を受け、三島剣道連盟会長を仰せつかりました古賀惠介でございます。どうぞ宜しくお願い致します。
さて、五月からコロナ感染症の扱いは5類に移行し、私たちの生活もようやく以前の日常に戻ろうとしております。三島剣道連盟におきましても、諸行事を少しづつ平常の対応に戻すべく準備を重ねておりますが、まだ予断を許さない状況にあり、慎重な対応を続けなければなりません。
加えて、武道界には高齢化と少子化にともなう人口減少不祥事の多発倫理観に基づいた指導方法の改善、危機管理対策など、以前の日常を取り戻すためには解決しなければならない多くの問題が山積しております。剣道、居合道、杖道を共に学ぶ三島剣道連盟もその例外ではありません。新たな役員、常任理事、理事の下で私たちは現実を直視し、一つひとつ課題に取り組まなければならないと痛感しております。
私ども三島剣道連盟には、故石垣芳之助先生が提唱された無理無駄無法を諫める鏡新明智流の「三無の剣」の教えが伝わっております。この教えは、武道は単に自分のた めばかりでなく、豊かな人間関係の上に立脚しなければならないことを諭したものであります。
「交剣知愛」という言葉もありますが、それはなれ合いを諫め、真剣な技の応酬を通じて築き上げた人間尊重の境地でありましょう。
今こそこの教えに立ち返り、武道を愛する会員諸氏が己の武道をみつめ、一層豊かな人間関係を築き、日々の稽古や諸行事を通じて三島剣道連盟のあり方を模索し、かつての日常を取り戻さなければならない「時」と考えております。私たちは生き生きと粘り強く活動し、今以上に社会に受け入れられるように努めなければなりません。
武道の修行には、先人の教えをただ遵守するばかりでなく、その内容をさらに豊かなものにして後世に伝えるという大きな役割がございます。自分のためばかりではありません。武道を学ぶ者は、過去の名人や達人たちが残した命がけの遺産を現在の人間関係の中で練磨、習得し、それを後進に伝える「武道の継承」という重要な役割を担っていることを肝に銘じた いものです。
武道は人との関わりの上に成り立つと同時に、過去から現在、そして未来にわたる悠久の人間関係のなかに存在しております。武道を愛好する私たちがこの原点に立ち返ることは、武道の未来に大きな意味があると考えております。
ご存じのように、三島剣道連盟は三島市、伊豆の国市、伊豆市、駿東郡清水町と長泉町、田方郡函南町の三市三町にまたがり、沼津市剣道連盟をはじめ裾野市剣道連盟、伊豆東剣道連盟、賀茂剣道連盟と接し、多くの皆様との交流を重ねて参りました。これからさらに広い交流が必要となることは想像に難くありません。武道を愛し、その将来を見すえた広い人間係が不可欠となりましょう。今後ますます開かれた連盟とならなければなりません。
三島剣道連盟を取り巻く現状は決して順風満帆なものとはいえません。微力ではありますが現在の武道に携わる者の一人として、快活で人間味あふれるふれ合いのなかで、剣道連盟の将来を憂える会員諸氏の声に耳を傾け、一丸となってさまざまな課題に取り組もうと考えております。開かれた交剣智愛の下、次世代を担う若い剣士たちの声が響き、会員各自が自身の武道を実現して一層豊かな関係を築けますよう、連盟の枠を越えて広く皆様のご助力仰ぎ、微力ではありますが力を尽くす所存でございます。
ご指導、ご鞭撻をよろしくお願い致します。

(令和5年5月)